私たちのさよなら。  ~超短編~

作者紫愛。

温もりを追い求めて、私はいつまで立ち止まっているのだろう。指輪は、涙を吸ったように切なく、輝いている。

左手薬指に刻まれた―『結婚の予約』。


頭では理解しているのに、どうしても

心が悲鳴をあげて、外せないの。



涙を吸ったように、切なく、輝き続けるそれを、

私は愛おしげになぞった。