満月の頃に~泡沫の恋~

作者乙子

結ばれない運命。きっと貴方と私はそんな運命。だって私はもうあの人と結婚の約束をしているから…。

満月の夜にかぐや姫が嘆いていたかのように





私も満月を見ては、いつも嘆くの。




ああ、いとしのあの人といられる日が短くなってしまう…。





かぐや姫は、彼の求婚に答えてはいけなかった…。




なぜなら、かぐや姫は、罪を犯して人間界に流されたのだから。




いずれ、月の都に帰る身なのだから…。






だから、最後の夜に、人間の心があるうちに、




かぐや姫は、愛する帝に文と薬を渡した。




それは、求婚を断り続けたかぐや姫の、本当の想い。






すべてを、忘れる前に…と。