カブラギ
未知なものは人に恐怖を抱かせるから
評点[82/100]
文庫本のように、“魅せる”文体。
色彩や風景描写で攻め立てるのではなく、様々な単語を用いて内面をメインで書き込み、読む者の想像力を駆り立ててくれる。
昔話を思い起こさせる、和テイストで構築された世界観。
ゆえに、現代的単語との噛み合わせに違和感を覚えたが。
また、神社の風景などやや書きこんで欲しい箇所はあったものの、全体として、描写の抜き差し具合が見事だと思った。バランスがいい。
ほのかに現われる作者の価値観だとか(一例はレビュータイトル参照)、さりげなく込められた皮肉の匂い。どこか達観した視点も、作品に味を加えていると感じた。
細かい読みこみは後ほどとして、先ず、構成力と表現力に一票を投じたい。