うのたろう
絵本で読みたい
言葉をしゃべるぬいぐるみ・テディと主人公・たけるの成長の物語。
ゆっくりとだが、おとなになっていく人間たける。
昔のまま変わらない、ぬいぐるみのテディ。
こどものころは仲がよかったふたりだが。
たけるの成長につれ、おなじ部屋で疎遠になっていってしまう。
童話としてのテーマも明瞭。
心の成長。それも初期の思春期という段階だ。
われわれ人は心の弱さやおさなさから、いつもなくしてはじめて、だいじなものに気づく。
大切「だった」ものの大切さは、後悔の代わりでしか得ることができない。
だが、この作品は童話として指針と希望を、われわれ読者にしめしてくれる。
その証拠にたけるはその一歩手まえの段階でテディという存在の大切さを思いだす。
こどものころとおなじようにテディと話し、胸にあったしこりをほぐす。
結果的にテディはたけるのまえから消えてしまうが、彼にとって、それは後悔にはなっていない。
かなしいけれど、彼をより成長させてくれるかけがえのないできごとになった。
きっとそれはテディの最後の教えだったのだろう。
おすすめだ。