伊東ミヤコ

切ないのに、前向き
まるで、屋上で会話をしている二人を、目の前に見ているような錯覚を起こしながら読んでいました。それくらい、自然な状況に思えてしまう、リアルで繊細な描写でした。

かつての、学校での思い出話を無邪気に語り合う、ハルとナツ。

でも、実際は、ハルとナツの間には絶対に越えられない壁があって…


「好きだ、ハル」


このストレートな告白が、本当につらく切なく響きました。

それでも、悲しくてたまらないはずなのに、じんわりと胸が温かくなるラストは短編とは思えない読後感です。

ハルとナツのいちばんよかった頃を勝手に想像して、涙ぐんだりもしてしまいました。大切な人に会いたくなるような、そんな素敵な作品です!!