「坂の上、黒い男の子」

作者葉苡音

長い、長すぎる。


なんとか頂上にたどり着き

立ち止まる。


風が微かに

わたしの髪をなびかせた。







「この辺に住んでんの?」






少し長めの黒い髪。


少しくずして着てる学ラン。

黒色の靴。


黒ぶち眼鏡ごしに見える

綺麗な漆黒の目。


全身真っ黒なのに肌は

黒を際立たせる

くらいの色白。


さらに細身で長身。




暗闇に吸い込まれる感覚だった。




わたしは闇の虜になった。