ウツクシキ顔

作者りう

「美しくなりたい」無邪気な妹の切なる願い。俺の前に彼女は「ウツクシク」なって現れた。日常にありそうなライトなお話です。眠れぬ夜にお楽しみください。

「綺麗でしょ?」


彼女は言った。


一見邪気のない、素直で率直な問いを。


残酷な、欲望まみれの女の声で。



「綺麗であるはずがない」


俺は言った。


怒りと、殺意に満ちた声帯を震わせて、


胸が張り裂けそうなほどのせつなさを内に秘めたまま。



つたい落ちる赤い滴にかまうことなく、目の前の女を睨み続けた。


美しくなったと言い張る、悪魔のような顔をした妹を。






第三回プリン杯に参加させていただいた作品です。

若干、残酷な描写もありますので、苦手な方はご注意を。