アタシは亜美香。
ごくフツーの女子高生。
……って言いたいとこだけどさ。
今のアタシの状況は、ちょっとフツーの女子高生とは言いがたい。
アタシの手には、真剣が――人の命すらさっくり斬れる刀が握られている。
(……殺せ)
刀の名前は妖刀『浅元』。
その気になれば人の『悪心』だけ斬れるのに、やたらと好戦的な刀。
何故刀の声なんか聞こえるか?
アタシが、刀の『主』だから。
「わあってるって」
刀を振り上げる。上段の構え。
「でも殺さない」
それが、アタシにただ一つできることだから。