私は動けないでいた・・・
最後のお花を棺に入れる為花を手に持った
棺のそばまで行った時初めて涙で視界が曇っている事に気づいた
棺の中に何粒も何粒涙がこぼれて落ちた
動けない
動けない
残った花を手渡された
棺の中は花が溢れていた
棺の蓋を閉じ「最後にお嬢さん二人から花束をたむけてもらいます」と花束を渡された
姉と二人花束を両手に抱えたまま、足が動かなかった
歩く事が出来なかった
前が見えなかった
姉が私の肩を抱き私を押してくれた
止まらない涙がある事を知った
動けなくなる、頭が真っ白になってしまう悲しみがある事を知った
式場には『そばにいるよ』の曲がエレクトーンから静かに流れていた・・・
ある日我が家は崩壊した・・・
我が家が崩壊すると共に、私も壊れていった・・・