to-ya
生者を悼む死者の唄
今という時の一点に立ち、明日への一歩踏み出す事を許された者達。
生きている者達・・・・・・
私達は須く親しい者の死後、その魂の安寧を願い、そして悼む。
しかし、この作品では死して後『場所』に縛られ、流れ行く『時』から見放されて尚、最愛の者の紡がれ行く未来を想いやる少年が儚くも鮮やかに描かれていた。
死者が生者を悼む。
それは余りに切なく、されども柔らかな旋律で奏でられる『鎮魂歌』のようだ。
作者の『言の葉』に対する類い稀なる音感が、そのように感じさせるのかもしれない。
余りに上質で、携帯小説である事にある種の焦燥さえ覚えてしまう。
今後の作品創作に大変期待させられる素晴らしい短編小説。