『生かされた』
ねぇ…なんで
笑ってるの?
雨に打たれてるの?
そんな顔で
小さなあたしに
近付いてきた
綺麗な女性
『私の子供に届けようとしたの』
そう言って
可愛い黄色の傘を
あたしにくれた
『ありがとうございます』
そう…涙が雨で
掻き消されてく
ねぇ…優しさは
いらなかったの
だってあの時の
少女は死を意識して
いたから
本当はね…
いらなかったの
黄色ろくて
可愛い傘を
にぎりしめて
ささずに歩いた
『ねぇ…優しさって
本当にあるんだね』
少女から女性に
なった今あたしは
優しさだけは
忘れたくない
あの女性のように
微笑んで
頭を撫でてあげたいの
見透かされているような
あの瞳をあたしは
忘れない