珊瑚島

ファンタジーの休日
ファンタジーというと、「冒険」「戦闘」など、躍動的なものが非常に多い。
そんな中で、この作品はそういった動きのある部分ではなく、構築された世界の中での人々の営みを、平和な日常に焦点を当て、丁寧に奥深く描いている。それが非常に興味深い。
読んでいるだけで港町の喧噪が聞こえてくるほどに丁寧で流麗な描写がとても良いです。ああ、ラライーナも人間もエルフも、そしてドラゴン達も、皆生きてその世界で生活しているのだ、と。そう実感することができます。

また、短い中でも種族間の遺恨を深く描き出しており、テーマ性も十分。

読めば読むほど味の出る文章で生み出された世界を、その中で生きる人々をぜひ感じてみて下さい。