小泉秋歩
じわじわと、怖い。
ホラーが苦手なので、おっかなびっくり読み始めました。
しかし、するするっと読める平易な文章、1ページに詰め込みすぎない文字数、適度な改行と、全くこちらに負担を感じさせない気配りのある文章で、気付いたらあれよあれよと読み進めてしまいました。
章タイトルが、子供の喋り口調みたいな感じで、それが逆に不気味な雰囲気をかもしだしていてイイです。
あどけない子供達が、尋常じゃない状況に追い詰められていく中で、純粋さゆえの残酷さを剥き出しにしていく様子が恐ろしかったです。
突然現れる手など、こちらを驚かせるホラーチックな仕掛けはところどころにあるものの、全体的にはむしろ「じんわり…」と背中に汗をかくような、そういう心理的な怖さを感じました。そしてラストは……!(悲鳴)
最後まで気の抜けない作品です。ホラー好きの方にも、そうでない方にも、オススメです♪
ただ、「地の文」が、ところどころ大人っぽい文章になっているのが気になりました。せっかく10歳の少女の視点で書いているのだから、地の文も子供っぽい言い回しで統一されていたら、いっそう怖くなるのではないかなぁと思ったのですが…。