ファントム  名の無き亡霊

作者綺羅


この世には絶対なる存在の王がいる。


王は森羅万象を全て理解し、その力でこの世を治めてきた。


しかし、王にも恐れる存在がいた。


―――魔導師―――


魔を導くもの。


魔を宿すもの。


そして、魔力を司るもの。


王と魔導師は正反対の存在であった。


それまでの王は、魔導師を闇と自らを光とし、接触しない事で調和をとってきた。


しかし、17代王。


ゼリアは違った。


己に屈しないものを全て排除しようとした。


無論、魔導師も―――。


王は魔導師を狩る事を決めた。


魔のものを全てこの世から除外する事に決めた。


そんな中、強力な魔を宿すものが生まれた。


魔導師はその赤子が王に見つかることを心配し、ラルトという天空の国にそれを隠した。


王はそれを必死に探したが、結局は見つかる事はなく、その伝説だけが残った。