「お前、何で死ぬの?」
不良教師は白衣をひらりと靡かせながら、美味そうに煙草の煙を吐き出して問い掛けた。
「別に。何となくですよ」
学校の屋上で。フェンスの向こう側に佇む少女は振り返りもせずに、ぶっきら棒にそう述べた。
「じゃあさ、先生と何となく生きてみようか」
「は?」
紫煙を纏う彼は頭の悪い発言をしてみせた。――何となく生きる。意味不明である。
それでも、ぼくは。
あのとき、あの瞬間。初めて面白そうだと思ったんだ。
「いいですよ、先生。まずは、そうだな。――なんとなくメロンパンが食べたいです」
( 生きたくない僕と嘘つきな先生。 )