海の色とブレンドしていく。
それは人が特別な人と出会ったときに似ている。
海も夕日を拒むことなく受け入れて、黒く揺らめく『無』へと戻っていく。
そして次の朝、そこからまた始めるのだ。
新婚旅行先のニューヨークで、夫が死んだ。
そして、私は声を失い、記憶を失った。
それでも生きていかねばならない。
人間には『生きる』と言う選択視しか残されていないことを、それこそ幼い頃からずっと知っていたのだ。
たとへ愛しい人を失っても尚、生きていかねばならぬことを。
麻薬密売組織に翻弄されたルイの物語。