剣術道場の家の末っ子の大沢良子は幼い頃から剣道の大会で何度も優勝し世間からサムライ少女と呼ばれていたが、のちに自分を大沢良太郎と名乗り男として生きることになる。

ここまで生きてきて

まだ本当の自分を知らない。

でも、感情はある。

人を求め、人を信じ、人を愛し、

それで精一杯生きて来た。


私は天才。

未だに信じてる。

突っ走って、気合いで行けば、

告白だってできるだろう。

でも、勇気はない。口だけだ。

こんな自分を愛してくれる人がいるか?


今ここにいる自分は

自分じゃないみたい。

自分は何でもできると

未だに思っている。

誰になんと言われようと

頑張ったり、笑ったり、涙を流したり、

それでも、自分じゃないみたい。


私は天才。

そう、言われたんだ。

お世辞でも、それでも信じるよ、

自分をみつけてやるんだ。

でも、勇気はない。口だけだ。

こんな自分を愛してくれる人がいるか?


こんな自分でも、いいですか?

それでも、いいですか?

自分が見えていないけど、いいですか?

偽り者ですが、いいですか?

それでも、いいですか?


私は…………


偽り者だ。