仲間、なんていう泣ける言葉は、きっと5人にとってふさわしくない。
トオルのバンドのメンバーは、音楽を愛する気持ちはこんなにも一緒なのに、もうバラバラになりかけている。
アツキは相変わらずケンカばかりしていて、ヒロはとんでもない小悪魔に恋をした。
唯一のブレーキ役はハルで、ノリはいざって時に無力な女の自分を、とても悔しく思っている。
大人でもなくて、子供でもなくて、ひどく不器用な。
いつだってたくさんを望まないのに、傷みばかりが増えていく。
愛や恋や友情の意味さえわからずに、けれど彼らは、そんなものを知りたいワケじゃない。
ただ、忘れたくないだけ。
自分たちがこうして、ここにいたことを。
こうして懸命に、その瞬間を生きていたことを。