RUN-夜明け前-

作者たから

恋、友情・・・男女5人、17歳の夏。たくさんを望まないのに、傷みばかりが増えていく。けれど彼らは忘れたくないだけだ。こうして懸命に、この瞬間を生きていたことを。

仲間、なんていう泣ける言葉は、きっと5人にとってふさわしくない。



トオルのバンドのメンバーは、音楽を愛する気持ちはこんなにも一緒なのに、もうバラバラになりかけている。



アツキは相変わらずケンカばかりしていて、ヒロはとんでもない小悪魔に恋をした。



唯一のブレーキ役はハルで、ノリはいざって時に無力な女の自分を、とても悔しく思っている。



大人でもなくて、子供でもなくて、ひどく不器用な。

いつだってたくさんを望まないのに、傷みばかりが増えていく。



愛や恋や友情の意味さえわからずに、けれど彼らは、そんなものを知りたいワケじゃない。



ただ、忘れたくないだけ。



自分たちがこうして、ここにいたことを。

こうして懸命に、その瞬間を生きていたことを。