緑
胸を打つ短編
何か、後世に残したい短編集たち、っていうのを作るとしたら絶対に入れたい作品の一つです。すごい。ただただ感動するだけ。
まず読者が注目するのは題の意味。288 and overと称されたこの物語には一体どんな意味が込められているのだろう。作者の表現はご存じでしたので、紡ぎ出されるその一行が一行がまるで芸術。作中で使われる波という表現が、読者にも押し寄せる。あっという間に、心は物語へと攫われていく。
次に少年がどのようなキーパーソンとなるか。意識して見るようになった今だから、彼の言動や行動に意味を持たせているのだろうとじっくりと読み進めた。そして288という数字の意味。
これをふまえて、ラストのoverの章を読む。そうすると自然と二回目を読み出したくなる。
そういう作品。自分の言葉では表現しきれないほど、綺麗で透明な作品。