“恋に身を焼く八百屋のお七 飛んで火に入る 夏の虫”
紅蓮の焔に身を焼いて、散った一輪の仇桜。
愛する人に会えるなら、散って何の未練がありましょか。
死んであの世で結ばれりゃ、あたいはそれでもかまわない。
哀しき女と憐れな男が織り成す恋模様。
これは、江戸の大火に一途な恋心を燃やした、お七の悲しくも美しい恋の物語である。