*曖昧と記憶のお噺。*

作者ふぁんとむ

 穏やかな空の中を漂うなんて素敵なことだけど。この曖昧で広漠とした世界は別だ。魔女の謎を探りながら、ついでに記憶を探す呑気な旅のお噺。



 目を覚ました少女は、何も手にしていなかった。


 その目には曖昧しか映らず、

 その背には運命しか在らず、

 その心には、何も残っていなかった。


 自身の謎、世界の謎。旅の目的は“記憶探し”から次第に逸脱してゆく――。

 そして何度も、何歩も、曖昧の中を歩む。それだけが、唯一確固とした手段。



  


 記憶を探る少女たちの、十中八九シリアスだけど、結果的に呑気なお噺。


 ――開幕。