流星

ストーカーの軌跡
ストーカー=一方的な悪。
被害者=ストーカーに付きまとわれる隙がある。

・・・そんな先入観を抱いていました。

ですが、ストーカーの被害者と加害者は、元は恋人同士だった場合が多い。
それも現実です。
なのにどうして、犯罪の被害者と加害者とになってしまうのか?
あんなに好き合っていた二人が、いつしか避け合い、憎み合う結果に・・・。

この作品でもそうでしたが、イノリとミノル、互いを必要とし合っていたはずの二人に。
徐々に隙間が生じ、心も離れて・・・。
しかしそのまま消滅には至らず、不完全なままの交流を続けているうちに、拉致監禁という最悪の結果を迎えます。
もうちょっと互いに歩み寄れば、絶対に理解し合えたはずなのに。
わずかなボタンの掛け違えで、犯罪の被害者と加害者へとなってしまうのです。

その感情の揺れと状況の変化が、決め細やかに描かれています。
ストーカー=完全悪というレッテルを横に置いて、以前は恋人だったことを思い出し。
徐々に追い詰められていく悲劇を読み進めていくと、非常に考えさせられる作品です。