仮面噺(カメンバナシ)

作者縷々羽部 綾弥

 少女の世話をしてくれていた夫婦の片割れが逝った。奇怪で理不尽な死を悲しむ少女の前に現れたそれは、ひとつの仮面だった。

 仮面は偽るためにある。自分の上から役を載せて他人として偽る。自分を消すということこそ、真骨頂だ。


 仮面噺


  だが、愛していたと言うのは偽りではないんだ。