タガタメ (旧題 キミノコエ)

作者ななこ

二人の少年が同じ人に恋をした。一人は、同性の親友として傍に在る事を望み、一人は、その人の中の女を選ぶ。男であり女であるその人を幸せにしたかった、それだけなのに。

過去のトラウマから、自分の女と言う性を認めることが出来ず、「男子」として生活を送っている茜。



「茜が男で居たいんだったら、おれはずっと茜の傍に親友としてあり続けるよ」


茜の隣にずっと居た創。



「おれは茜が笑っていてくれたら、本当に幸せなんだよ」



2人の前に現れた少年は、茜と創が守り続けていた砂の城を壊す鮮烈な風のようだった。



「俺、茜のことが好きなんだ。女として茜が欲しい」


その強い感情は、茜を戸惑わせ、創を恐れさせた。


茜が大切で、大好きで。


その想いだけが、少年の全てだった。






「俺はこんなに茜のことが好きなのに、何で、茜は創が好きなんだよ……」