雨桜 -Ame zakura-

作者冴結




 あの日も雨だった。



 桜が満開の季節に


 

 ぽつぽつと静かに降り出した雨。



 声が枯れるまで叫んだあの日。



 隣を見ても、そこには彼方の姿はなくて、



 ただただ歩き続けた。



 頬を伝うのは一筋の雨か、それとも涙か。









 雨に打たれて、散ってゆく桜は



 静かに泣いていた気がした―――………