璃子

考えさせられる
今はなき子に語りかけるようにして始まるこの小説。冒頭からしてグイッと引き付けられました。


心理士であるあさみと作業療法士である貴之の恋愛を追うだけでなく、この小説を読むと、命の尊さや妊娠、そして中絶など、多くのことを考えさせられます。



また、それだけでなく、カウンセラーというものについても考えさせられました。精神科というのは、確かに偏見があるし、形で表れない精神のケアは難しい。(この物語の中にもあるように、クライアントが嫌われたと勘違いをして自殺未遂をしてしまったりなど)そういう実態にも触れているよい作品だと思います。


人間の心の強さと脆さを同時にかいま見たような気がしました。