その都市に蔓延ってるのは、あらゆる意味での闇だった。
澱んだ空気、抑圧、悪意、恐怖、死、殺意、嫉妬、欲情、絶望、病、嫌悪、孤独、不信、そして憎悪と、それと紙一重の愛。
あらゆる種類の闇が淀み、混ざり合い、フラクタルな闇を形成している。
人はそれを知っていながら、本能的に目を逸らす。
その闇の向こうに、「何か」が産まれているのを知っているからこそ目を逸らす。
人はそれの浸食に怯え、そこに死という終焉の影を見る。
必然的に、必要だった。
目を逸らすことをせず、(あるいは許されず)
「何か」を狩る存在が。(あるいは贄なのかもしれない)
ーーー…「支倉機関について」機関長・八坂継臣の言葉より抜粋