フリーター街のタクシー[第一集]

作者Cba

毎日更新!開くたびに新しい話が読めます。フリーター街でモグリのタクシーをしている白藤とその周辺の人々を描く、フリーターの短編集。

 渋滞の幹線道路を抜け六車線のまま続く国道に出ると、車は快適に流れるようになる。


 政令指定都市の近代的なオフィスビルが並ぶ本郷から、それを支えるベットタウンである庄野緑地ヘ向けて走っていると、右手側に平行して走る私鉄の高架線の向こうに、小高い丘が見えた。


 頂上にはかつての総合大学の校舎が廃校になって手付かずのままそびえている。かつて学生街として賑わった、ふもとの駅に向かって商店街やライブハウス・劇場の一群は、廃校を期にさらに活性化された。他大学への転入を諦めた学生や、アパートの安さを狙ったアルバイターが元の学生街にいつくようになり、若者文化に特化した地域が形成された。


 その構成層から、周囲からはフリーター街という俗称で呼ばれるようになった。