小泉秋歩
かっとばせー、熊五郎!
20年前に一世を風靡したプロレスラー・グレート猪狩。しかし、プロレス人気の低迷とともに、彼が率いるプロレス団体「新日本グレート・プロレス」は借金まみれで、猪狩の一人娘・闘子は溜息の毎日。そんなある日、猪狩が起死回生のとんでもない秘策を思いついた。それは、「本物の熊をプロレスラーにする」こと――?
奇想天外、抱腹絶倒のドタバタ・コメディ。登場人物はチョイ役に至るまで全員キャラが濃いのですが、その中でも、熊の「熊五郎」ときたら、コタツでミカンを食い、阪神タイガースの野球を観戦することが好きで、童謡の「ぞうさん」でご機嫌になるという変わり者。
物語のテンポは軽快で、笑っているうちに最後まで一気に読ませてしまいます。「新日本グレート・プロレス」の個性豊かで(ちょっと情けない)仲間達とのやり取りがとても楽しく、頑張れよと応援したくなりました。
闘子を巡る恋の三角関係も見どころです。まぁ、最後はとんでもない大技(笑)で決着がついてしまうのですが、それは読んでのお楽しみ、ということで……。