慟哭のセレナーデ

作者腐亭四迷

俺には好きな人がいた。


ピアニストを夢見ていた彼。


気付かぬうちに彼に惹かれていた俺は、やがて彼と体を重ね、愛し合う。


しかしそんな幸せな時間も一瞬のことで。


彼は突然、俺の前から姿を消した。


そして戦争が始まった。


死体がごろごろと転がる地獄絵図の中で、


兵士となった俺に銃を向ける男がいた。


それは、ただ一人…


この世でただ一人愛した彼だった。