むにえな

めぐる季節
季節が移り変わっても、同じ秋はやってくる。
孤独にはぐれた者もまた、長年の季節を越えてめぐり会う。

優衣の周りに対する過敏な罪悪感が、ますます周りに対して壁を作ってしまう――
生きるために必要な図々しさまでも拒絶してしまったような、潔癖さを感じました。

自分の短所が報われるのは、それが長所となったときにあるのかもしれません。
だから優衣は、蝶子を救うことができたのでしょう。

周りに受け入れてもらえないながらも、いっそ周りを呪ったりもせず、だけど孤独を忘れることもなく……生き続けていた――そうせざるを得なかった蝶子が、私は好きです。

優衣の、周りとのとけ込めなさをもっと詳しく読みたかったです。
「必要とされていない」
と優衣が感じた出来事の分からなさゆえ、優衣を理解したような気にはなるのですが、共感までには至らなかったので。

きちんと描かれた優衣の成長過程、しかも自分も励ますことができる優衣の強さが、素敵でした。