夏の楔(連載)

作者夏路殻巣

近所に住む少年、悠(はるか)に惹かれる双子の兄桂一郎。
そんな視線を知らぬまま、悠は成長して行く。
だがある事を切っ掛けに悠は心を閉ざしてしまう。

真夏の密室に閉じ込められている隆弘と悠(はるか)。

窓から差し込む太陽の光は、部屋の温度を上げ続け、二人の命さえ奪おうとしていた。

それまで日に一度は来ていたあの男は何故来ないのか。

あの扉が開かない事は死を意味した。

隆弘は必死に悠を助けようともがく。だが繋がれた鎖が外れる事はなかった。

朦朧とする意識の中を絶望が埋め尽くしてゆく。


一体どうしてこんな事になってしまったのか。


そんな時、うっすらと扉が開いた。