青空観測<完結>

作者柴見流一郎

青空の下、出会った二人は不器用すぎる恋愛の形を持ち、互いに惹かれていく。答えを青空に探しながら今日も降り注ぐ日差しを見上げる。

 病院の廊下に広がったそれは、どう見ても露店であった。

「何してるの…?」

 露店を広げる少女は見たままを口にした。

「露店商」


 音楽の道はやがて現実に閉ざされる。そしてもう一つの想いもまた、現実によって閉ざされた。

 中島敬は入院先の病院にて、奇妙な露店商と出会う。その少女はただ何をいうわけでもなく、青空を見上げていた。

 その空に何が見えるのか。

 夏の青空には雲ひとつなく、透き通った光を世界に投げかけていた。