lost blue<短編・完結>

作者柴見流一郎

 ありえるはずのない気持ち。存在してはいけない感情。叶うことのない未来を夢想し、青空に手を伸ばす。 アンドロイドは思考する。この気持ちの行き先を。

 この気持ちはありえない、ただのバグなのです。

 物語ではよくある光景。だが現実にはありえない。なぜなら、それが「私」である限り。

 私というアンドロイドが持つ事が許されない思い。これが、苦しく、嬉しく、そして苦しい。

 あってはならぬ事なのです。叶わないという以前に、それはおかしな事なのですから。