芙佳

爽やかな風を感じる
「生物部」という一見地味なのに、とてつもなく奥深いもの(生命)を考察する部が舞台となっている点が、まず面白いと思いました。

序盤からぐっと惹き付ける要素があればもっと良いと思いますが、読み進める内に魅力を感じる作品です。

ストーリー展開に意外性はありませんが、キャラクター全員に好感が持て、見守るような気持ちで読めました。

特筆すべきは台詞回し。作者さまのこだわりとセンスを感じます。競走馬や伝統ノートのエピソードには、さらりとメッセージが込められています。全体的に、さらりと薫る風のような印象。

古風な雰囲気もします。(舞台は一昔前かとも思いましたが、くうちゃん=歌手の誰それみたい、で現代話だと分かりました)

あとがきは手直しされた方が良いでしょう。あとがきから読んで、作品を読む読まないを判断する読者が多いみたいですから。