中絶するつもりだったから

ずっと父親である勇気には

妊娠のことを黙っていた。


しかし生むと決めたので

ちゃんと勇気に報告することにした。



勇気は入学してすぐ

監督に気にいられ、

1年のトップとして

毎日野球にあけくれていた。


夏樹とは一応付き合っていることになっていたけれど、部活が忙しくて連絡もとっていなかった。


夏樹は勇気の家へ行き

勇気の母に報告し、

勇気の帰りを待った。


真実を告げると勇気は

泣き崩れ、夏樹のお腹を

何度も睨んだ。

勇気は今野球が絶好調で

今は子供なんて邪魔者で

夏樹でさえ邪魔者に感じた。


勇気は家を飛び出し

どこかへ行ってしまった。


夏樹もしょうがなく

帰って行った。



勇気の母は夏樹に

何度も頭をさげ、

中絶を頼みつづけた。