まいみ
誰もが惹かれてやまないグランニギョル
春の陽のように、ゆったりとした不穏さでお話が進むのかと思いきや、そうではなく…
時には、生き生きとした脈動の音のごとく…時には、漂う白煙色の霧のようにじわじわと汚染されていく"負の感情"のごとく……どこか自然と頭に流れ込んでくる情景と描写
そして、最後には登場人物達が感じる見事なまでの繊細な人間心理に、心を締め付けられる事があります。
このお話は、誰もが一度は望み、誰もが一度は貶められる世界みたいなもの…自分自身が世界の想像主で、自分が全てのルールであれば、どんなによかった事か…
しかし、それはただの悲劇の幕開けにしか過ぎないのだと言う事を、この作者様は一人の少女の精神世界とそこに呼び込まれた干渉者によって、見事なまでに表現を成し遂げているのです。
果たして、この世界にアリスは何人いるのか。はたまた、それは救いのアリスなのか破滅のアリスなのか……
そんな世界から…あなたは、抜け出すことが出来るでしょうか?
これ程までに、いい意味での人間の不誠実さを描いた作品はありません。けれど、決してくどいわけではなく読みやすさもあるのです!