主人公・藻宮守(もみやまもる)は、波のある生活や状況が苦手だった。
要領よく生きる――というのは彼にとって、自分の感情を多少なりとも抑える代償に得られる当たり前の安定だった。
そんな彼の、なるべく避けたい「面倒くさいこと」とは彼がまだ高校生だった頃――自分の隣の席に座っていた水沢真葵(みずさわまき)の存在だった。
スムーズな生活を送るため、プライドを持たない藻宮は、進んでいばらの道を選んで、問題を自ら引き起こし、人間関係に手間をかける彼女を「面倒くさいやつ」と思っていた。
しかし、それは同時に感情を持って一生懸命生きている――魅力だったのだ。