君ノ記憶

作者歩羽

忘れたくなかった。なのに記憶からは君が消えて。いつしか顔や声さえも思い出せなくて。思い出したくなくて。
悲しかった。初めての別れ。私の記憶。――君ノ記憶――

春夏秋冬。一年間。




君を忘れたことなんてなかったのに、

忘れたくなかったはずなのに、




私の記憶から消え去った。




君が、貴方が、

消してしまったんだね。




でもこれがきっと、

人生の壁の先へと進む第一歩だから。




大丈夫。きっと、

前を向いて歩いてゆけるから。