ありえない程の激しい欲求に,胸が震えた。“敵”であるはずの人間に,こんな欲望を抱くとは。……私は狼だ。人間との繋がりは,必要ない。
彼女を見ただけで熱くなる身体は,いったい誰のものだ。
彼女の涙を拭い,笑みに変えたい。
彼女が涙を流すなら,それは悦びに咽いだ時であって欲しい。
私を抱き締める両腕は,見たこともないほど逞しくて。
囁く低い声が,どうしようもないくらい私の身体を火照らせる。
あなたは,何者…?