小さい時からこんな風に考えたりする。
朝目覚めると、いきなりギターが弾けるようになっていて、世界を股にかける稀代の名ギタリストになってんじゃねーかって。
また別の日目覚めると、今度は信じられないくらいの豪速球が投げれるようになっていて、メジャーで契約なんかすんじゃねーかって。
もちろん、それが“夢”とか聞こえのいいものじゃなくて、ただの“妄想”だということくらいわかっている。
ただ、俺はそんな朝を何千回と繰り返している。
これは、その何千回分かの一の話だ。