「お前の目には、赤が青に、青が赤に見えるとでも──？」
「ご明察。その通りで」
真夏のある日。突然、赤と青の色が反転して見えるようになってしまった美大生のアカネ。
引きこもろうが時間は進むし、大学の単位は落とせない。なにより、三回生の夏は考えることが多過ぎる！
課題、期末試験、夏の展示会、就職。そして、自らの過去とそれからについて。
色が反転したからこそ、より意識する外の世界で、幼なじみのアオイや友達のミドリ、気難しい先輩のクロサワと言葉を交わす。
色が違うからこそ気付くことがあり、対して、変わらないこともある。その気付きのひとつひとつを、乱暴な言葉ながらも丁寧に掴み取るアカネ。やがて、自身が何を見つめていたかを知り、何をするかを決めていきます。
未来を前にして怯える人達が、一歩どころか何十歩も駆け出そうとする話です。
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