1人は嫌だ。生きているのにまるで死人の様な感覚になるから……
翼を持たないエンジェル/翠恋 桜
事の発端は、学校でイジメを受けた事からだ。
多分、そこから私の人生は変わった。
興味本位で足を運んだトー横。
10代から20代前半の者が集まる場所。
その一角は大人さえ踏み込む事のないスラム街の様。
隙を見せてはいけない。
集団の中に入ってはいけない。
自分の中で自分のルールを作り、トー横を1歩踏み入れた場所の壁に凭れ、時間を潰す私は、翼を持たないエンジェル。
空を飛ぶ事さえ出来ない。
そんな日々の中で出会ったのは、寝癖の髪に陶磁器の様に白い肌をした整った顔の人。
ただし、口が悪い。
だけど暖かい人だった。