天涯孤独の百合草ひかりは、孤児の保護施設で慎ましく生きるも、苦難ばかりが襲い、報われない。高校を卒業したら就職しなければならないが不安しかない。
(顔も知らないお母さん。ひかりは少し、生きることに疲れてしまいました――)
卒業間近の冬、好きな人に手編みのマフラーをプレゼントするも、陰口を言われ捨てられてしまう。雪降る中をとぼとぼと歩く途中、トラックに轢かれて死を迎えた――はずが、気がついたらそこは雪深い異世界。
生贄として召喚されたひかりは、町の人々を苦しめる吸血鬼たる領主に捧げられる。だが吸血鬼はひかりに触れた途端に消滅。人々はひかりを聖女だと言う。
ひかりは領主の館に住まわせてもらうが、吸血鬼は生きていた。コウモリが飛びかかってきて血を吸われるが、相手は超絶美形の幼児に変身する。ひかりの血の味に感動したと言って懐いてくる。
「僕、ジェイル。ひかりのこと、しゅき!」
イケメン幼児(途中から青年)との甘々吸血タイム付き同居生活が始まる。異世界生活にも慣れていくが、やがてひかりに反感を持つ者や、この世界の魔獣によって窮地に立たされて――。
孤独な者同士が愛し愛され幸せを見つける物語。