高校一年生になったばかりの海原アオには、小学一年生の時からつきまとってくる一人の男がいた。十五歳年上の男、合田伴雷だ。胡散臭さが服を着て歩いているような男だが、伴雷はアオに頻繁に会いに来ては、アオの情報を嬉々として仕入れて帰って行く。
伴雷はアオの隣を虎視眈々と狙っているようだった。しかし、アオは「私は特別な人は作らない」と言い放つ。幼い頃から頑なにそう言い続けていた。
それでも、年月を重ねている内に伴雷を無視できなくなってくる。
その気持ちを自覚しても、アオが素直に感情に従うことはできない。保護者から反対されているということもあるが、アオが思い出すのは自分の父と母のことだ。アオを捨て、好き勝手に生きた二人のことを考えると、どうしても伴雷の手を取ることはできない。
悩み続けるアオに対して、八年前から変わらない態度を見せる伴雷。周囲からの反対と伴雷への気持ちの間で揺れ続け、自分を抑えることに限界を感じはじめるアオ。
アオは考え続ける。自分は一体、どうするべきなのだろうか。