恋人からの暴力に傷つく私が、ある晩偶然に出会ったのは、
名前も教えてくれない年下の男の子だった。
彼の秘密と恋人の執着に怯えながらも、惹かれていく心は……止められない。
あなたは誰ですか。
どうして私の前に現われるの。
私のこと、本当はどう思っていますか……?
厳しい状況の中、不安に怯える心は次第に彼でいっぱいになって……
【あらすじ】
恋人の過度な束縛から、ようやくのことで逃げ出した夜――
真実は夜の街で不思議な少年と出会う。
誘われるままでかけた真昼の海で、今の自分はどれだけ苦しい状況なのかを再認識する。
毎日ふらりと真実の前に現れる少年は、素性はおろか名前さえ教えてくれない。
『海』と名付けた彼と過ごすうち、真実は失っていたものを一つずつとり戻していく。
大学生活、将来の夢、家族との絆、友人たち――。
ただ一緒にいることが楽しくて、幸せで、この日々が続くことだけが望みなのに、周囲には常に不穏な影がつきまとう。
「明日また」という小さな約束だけで、他には何も確証がない海との関係も、時折とても調子が悪そうな彼の様子も、真実を不安にさせる。
大きな秘密を抱えているらしい海の事情に、気づかないふりをして、それでも無視できなくて――。
葛藤を越えた先で手に入れた答えに、真実が得るもの、失うものとは――。
※『それでもキミに恋をした』の真実視点です。
個別にお楽しみいただけますが、あわせて読んでいただけば、それぞれの心情がより理解できるかと……
よろしくお願いいたします。