演劇ガールの佐世保桜(させぼさくら)はふとしたことから、劇団員仲間の関門朝風(せきとあさかぜ)の恋人役を頼まれる。お見合いを断る口実が必要な彼からギャラをもらって恋人のフリを演じるのだ。「売り言葉に買い言葉」の末に結果、のせられて引き受けることになった桜。彼女の演技の先には不思議な出来事や偶然の産物が降り注ぐことになる。そのたびに彼女を助けてくれる古代ギリシアの詩人オウィディウス。弦楽器を操り『アポロン賛歌』を奏でて不思議な魔法で桜のピンチを救う。アポロンに頼まれたという彼は、桜の身の上で思い出の品物の化身だったと判明する。そして元町の音楽喫茶『フランツ・リスト』に掛けてあるミュシャのリトグラフ『黄道十二宮』のイミテーションが光る。アポロンの神託を受けた彼女、佐世保桜の願いと未来も動き始める。
次なるアポロンの仕事は、音大進学をやめたギャル細波映磨と転校生の黒鍵の不思議な一日をサポートする。主人公の映磨(ささらなみえま)は素行不良の高校生。言葉遣いは粗悪、見た目が茶髪、着崩した制服で登校する問題児。だがその実体は母親思いの優しさを隠している。そのギャルの風体になったことには理由があった。一年前、音大を目指して頑張っていた素直な少女に、クラスの女子たちが濡れ衣を着せた事件。ところがその運命そのものが間違った世界の産物だった。ローマの神・フォルトゥーナと転生した父親、黒鍵真中(くろかぎまたる)が彼女をもとの世界、彼女の本来送るべき人生のルートに引き戻す。しだいに運命の女神と幾何学の理論は彼女の身の回りに変化をもたらし始めた。前回の細波映磨(ささらなみえま)の時と同様に、