中学二年の矢野陽咲(やのひなた)は、休み時間に机に突っ伏しながら、小一の頃に経験したある出来事を思い出していた。
それは、クラスメイトの男子が投げてきた泥団子でワンピースが汚れて落ち込んでいた時に、友人兼ヒーローが駆けつけてくれたという、大切な記憶。
過去の思い出に浸っていた陽咲に話しかけてきたのは、まさに友人兼ヒーローである、浅野幸輝(あさのこうき)だった。
陽咲は幸輝に、救けてくれたことへの感謝の気持ちを改めて伝える。
ところが、幸輝は「礼を言うのはこっちの方だ」と返答して──?
「私にとって、一番大切な宝物だから……押し入れの衣装ケースの中に畳んで仕舞ってる」
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