会社に退職届を出した。
余りにも理不尽で不平等だと思ったから。
無職になった私は海に向かって『馬鹿野郎ー!』と叫んだ。
悔しくて、負けたくないと思う中、溢れる涙を止める事が出来なかった。
「泣いてるのか?」
そんな声が聞こえたけど、私にではないと思った。
涙を拭き、踵を返すと知らない男の人が私を見ている。
日本人には珍しい深海の様な髪の色に、冷たく感じる瞳も深海を思わせる。
切れ長の目に、整った鼻筋。
キラキラと光るイルミネーションに照らされたその人を素直に綺麗だと思った。
でも、私には無縁の人。
その人の側を通り、自宅へと向かう。
私に言われた言葉じゃなかったけど、誰かに見られていたと思うと恥ずかしくなり、速足になる。
これがその人に逢った日の出来事。
まさか、また逢えるなんて思わずにいた。
無職 葛西雅(かさいみやび) 24歳
二階堂コーポレーションの御曹司
二階堂煌志(にかいどうこうし) 28歳
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