折戸圭信は埼玉県北部の寺の副住職。交際中の有紀にアドバイスされ小さな証券会社で電話セールスのアルバイトを始めたが、上手く商品を案内できない。デートでも「小さな寺に生まれた自分は運が悪い。日経平均が4万円になれば皆幸せになるのに。政治が悪い」と愚痴ってばかりで有紀に呆れられ、振られる。
ある日、バイト中に電話した老人、山田樹三郎に「トークの基本がなってない」と叱られる。それでも山田の指示通り、気持ちを込めて話しているうちに、成果も出てきた。
そんなある日圭信は、本堂の壁にかかっている、三十年前の記念写真の説明文に当時の檀家総代として山田の名前があるのを見つける。そして幼き頃、公園のベンチで心臓を押さえていた山田を助けたことも思い出す。
一方山田のほうも、電話で聞いた「折戸」という珍しい姓で、自分が昔総代をやっていた寺の跡取り、そしてかつての命の恩人だと気づいていた。
圭信は山田に電話するが山田は肝臓がんで入院していた。意識はあるが危機的な状況。取り乱した圭信に山田が命じた指令とは・・・。